私が塾を開いていたとき、いちばん苦労したことは「教える人を教える」ことでした。先生になってくれる大学生や、生徒のお父さんお母さんに、「教えるとはどういうことか」「学習とは何か」「学習は何のためにあるのか」ということを、もう一度しっかりと思い出してよく理解してもらうことからはじめたものです。「できない子なんていない」ということだけでも、理解してもらうのはなかなかむずかしいことでした。この本を読んで下さる方々にも、まずなぜ「できない子なんていないのか」ということから、まず知っていただきましよう。たくさんの人を教えた経験からはっきりといえます。人間の持っている容量はほとんどかわりません。だけど人それぞれ好きなこと、興味のあること、能力の分野に違いがあるだけだということに気がついてください。自分がどっちの方向に進んだらよいか、その最初の糸口をみつけさせることこそ先生や親の第一の使命です。